社会全体の持続的発展と環境負荷について、私たちはこう考えます。リノベーションは新築の対局としてではなく、すべての新築に必要な行為なのだと。New Normalなモデルルームで、暮らし方の新しいスタンダードを体感してください。
PROJECT DIARY
プロジェクト日記

2022.09.01 (Thu)

PROJECT DIARY Vol.3

リノベエステイト代表 松山真介さんにインタビュー

プロジェクトの中心を担う、リノベエステイト代表の松山真介さん。まだリノベーションという言葉が一般的ではなかった2000年代前半から、いち早く建築と不動産(real estate)を融合させた事業を展開してきた、リノベーション業界のパイオニアです。

近年は目に見える部分をデザインするだけでなく、消費エネルギーの少ないSDGsな家づくりにも力を入れており、常に一歩先を見据えた活動をおこなっています。そんな松山さんに、今回のプロジェクトについて話を聞きました。

リノベエステイト 松山真介さん

福岡のリノベ業界を牽引する松山さん。今回の協業プロジェクトでは、主にリノベーションのデザイン&プランニングを担当する。

BLDG64

自社ビル「BLDG64」は、1964年(東京オリンピックの年)に建てられた古いビルを、松山さんの企画・設計・デザインによって一棟丸ごとリノベーションした。まさにリノベの教科書とも言える建築物だ。

- 今回、松山さんがプランニングする「ワーケーションハウス」について教えてください。

松山さん:コロナ禍でテレワークが当たり前になりましたが、テレワークに適した家づくりはまだみんなが模索している段階です。それに対するリノベエステイトとはぴりの!からのひとつの答えが、このワーケーションハウスです。

パブリックな場所(SOHOスペース)、セミパブリックな場所(リビング・ダイニングキッチン)、プライベートな場所(寝室)と、空間を大きく3つに分けることで、仕事と暮らしが両立できる家になっています。

構造としては団地によくある壁式構造で壊せない耐力壁も多く、リノベの観点からすると少しクセのある物件になりますが、そこは我々の腕の見せどころ。耐力壁を上手く活かしながらリノベーションします。

解体後の現場を細かくチェックしていく松山さん

解体後の現場を細かくチェックしていく松山さん

松山さん:福岡都心部に近い立地で、これだけダイナミックな眺望が得られる物件はなかなかありません。エレベーターなしの5階という条件を嫌がる人もいるかもしれませんが、5階だからこそ味わえる景色の素晴らしさがあります。

団地って公園の中に家が建っているようなものだから、敷地は広く緑も豊かで、それがこの立地で得られるのは贅沢なことです。都心部と住宅エリアがちょうどクロスする場所で、まさにワーケーションするにはうってつけ。福岡でワーケーションといえば糸島等の郊外エリアがよく挙がりますが、そこまで行かなくても、ここの階段を5階あがれば十分にワーケーションできます。

「全ての建築物を持続可能なものにする行為こそがリノベーションです」と話す松山さん

松山さん「全ての建築物を持続可能なものにする行為こそがリノベーションです」

松山さん:また、「低燃費な家づくり」というのも大きなテーマとなっています。地球温暖化による異常気象や災害が多発していて、自分が子供だった頃の地球ってこんなだったかな?と思うほど、いろんなことが変わってきています。

ロシアとウクライナの問題でエネルギー危機も起こり、電気代は毎月のように上がっていく。カーボンニュートラルの価値観が求められる状況の中、建築家として、リノベーション会社として、何が出来るんだろう?と考えた時、断熱性能を高めてエネルギーロスを抑える「低燃費の家」を本気でつくってみようと思ったんです。

もともと断熱には取り組んできましたが、今回新たにやろうとしているのは断熱の見える化です。今までは「断熱してますよ」で終わっていたところを、どれくらい断熱されているのか、電気代がいくら節約されているのか、きちんと数値化します。

断熱性能のレベルでは等級5が目標。これは2022年4月より新設された「ZEH基準」といわれる高性能な仕様です。私たちが今やれる最先端の技術を駆使して、令和のスタンダードとなる低燃費住宅を、皆さんにお見せしたいと思っています。

「このプロジェクトでリノベーションの新しい領域をご提案したい」と話す松山さん

「このプロジェクトでリノベーションの新しい領域をご提案したい」と話す松山さん

- 仕事と暮らしが両立できて省エネまで実現できる、まさにこれからの時代にぴったりな家ですね。

松山さん:これまでのリノベーションは、表層的な部分が目立っていましたが、そこから一歩進んだ「環境と健康にコミットするリノベーション」に取り組むことが、我々リノベ会社の社会的責務だと考えています。

今回、リノベーション協議会の仲間でもあり、同じく断熱にも積極的なはぴりの!さんにお声がけをして、2社共同のプロジェクトとして取り組むことになりました。そうすることで、業界全体に影響を与えることができると考えたんです。

1社でも多く同じ想いの会社が増えて、世の中の家の多くが低燃費になれば、困ることなんてひとつもないですから。もしかしたらエネルギー会社さんは困るかもしれないけど(笑)、地球のことを考えれば絶対に低燃費を推し進めるべきです。

このプロジェクトをきっかけに、更に多くのリノベ業界の方々と一緒に、SDGsな家づくりに取り組めていけたらいいですね。

リノベエステイト / 株式会社アポロ計画 代表取締役 松山真介

リノベエステイト / 株式会社アポロ計画 代表取締役

松山 真介

Shinsuke Matsuyama

1968年福岡県北九州市生まれ。1993年に九州大学を卒業後、一級建築士・宅地建物取引士として活動。2000年にクリエイティブカンパニー「アポロ計画」を設立。「モノづくり・ウワサづくり・売上づくりのデザイン」を理念と掲げ、様々なデザイン事業を展開する。現在は中古建築の再生に特化した「リノベエステイト」の代表として、多数のリノベーションを手がけるほか、一般社団法人リノベーション住宅推進協議会九州部会長も務める。

記事を書いている人

福岡市在住のフリーランスWEBデザイナー。
自らも築40年の中古マンションを購入してリノベーションした経験あり。

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リノベエステイト
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